夏休みということも手伝ってか、親子連れがたくさんいた。



子どもたちはきれいに整備された芝生の広場で楽しげにフリスビーをしたり、ボールで遊んだりしていて、葵はその様子をうれしそうに眺めたあと、きれいな公園だねちとせくん、と笑った。



「噴水はー?」
「ああ、向こうにあるよ」


俺が指示した先には小さな小屋があって、その手前は石畳になっている。

石畳の中央に、西洋風の大きな噴水がある。花壇に囲まれたそれは、堂々と水を吹き上げていた。





「きゃー!きれーい!!」

葵が噴水に向かって駆け出した。
俺はあわててそのあとを追う。








「すごいっ!テレビで見た噴水みたい!」



葵が言うには、俺が学校でいなかったときにテレビで見た外国の噴水に酷似しているらしい。そこまで似ているのなら、その噴水がオリジナルで、こっちはそれを見本に作ったのかもしれなかった。

見ているうちにどんどん水の噴き出されるパターンが変わっていく。



中心からまっすぐに吹きあげたかと思ったら、それを取り囲んでいた細い吹き上げ口からぴゅ、ぴゅ、ぴゅ、とリズミカルに水が踊る。



「わあぁーっ!ちとせくんっ、スケッチブック貸してーっ」
「はいはい、ちょっと待ってろ」