「お出かけお出かけ」

朝食中も、葵は目に見えて浮足立っていた。
まあ、夏休みに入ってまともに出かけんのは今日が初めてだから無理もないかな、うん。



「葵、行きたいとことかあったらバンバン言えよー。できる限り連れってってやるからさ」
「じゃあ、『海』見に行きたい!」
「おっけー」
「サトくんも一緒ね!」
「はいはーい」

少し前では考えられなかったほど穏やかな時間が確かにあって、俺はそれがうれしかった。