窓を閉めて、クーラーを入れた。
湿気が嫌だったから。



「じゃー…どうすっか。夕飯でも食うか」



葵に、朝俺がかけていたタオルケットをかけながら、サトに聞いてみる。
サトはそうだなあ、と時計をちらりと見て、そうすると言った。

「つっても、残りもんしかないから大したもの作れねえけどな」


キッチンに行って何気なしに冷蔵庫を開けてみた。

卵、牛乳、お茶、スポーツドリンク、オレンジジュース。
それからニンジンが少しと、ホウレンソウが少し。




「…お前ら、何食って生きてんだ」

大量の飲料を見たサトは顔をしかめながら言った。

「いくら何でも固形物少なすぎだろ」
「大丈夫大丈夫…たぶん」



冷蔵庫のドアポケットに、ラップで包んだ残りごはんがあった。

「じゃ、季節はずれ甚だしいけどー。今から卵と野菜の雑炊をつくりまーす」
「マジ季節はずれ」


そう言って親友はカラカラと気分のいい笑い声をあげた。





向こうで勝手にテレビをつけたようだった。
音がしたのでそちらを振り向くと、「見てみろよ、これ」と、次々にチャンネルを変えて見せた。
たいていのチャンネルには花田レイコが映っていて、それに気を悪くしたのか、「なんかDVD見せて」と俺のところにきた。


「DVDなら、書斎にある。廊下の突き当りの部屋の、右」
「さんきゅー」


俺が野菜を切っている音と、サトがガサガサやっている音が部屋を満たした。



「これ貸して」
「あー」

俺がそっちを見もせずに適当に返事をすると、なんかの洋画を見始めた。