怒るかな、と思いながらも、ドアを浴室側に押して細く開けた。


「う?」
「あ」

シャワーをくぐっていた彼女と目が合う。

1秒、2秒、3秒…

「ゴメン」
「?」

俺は無表情のまま、ドアを閉めた。










リビングに無言で戻り、椅子に座って、テレビをつけた。
そして考える。


彼女は叫びも慌てもしなかったし、恥ずかしがる素振りも見せなかった。


むしろこっちが恥ずかしいってなんなんだ。

見てない。

見てないぞ、俺はなにも!!

…ちらっと、しか。





ああ、誰に向かって言い訳してるんだろう…




少女の「無反応」という反応に、かなり大きな違和感を覚える。





普通、裸のところに他人ましてや男が入ってきたら慌てないか?
叫ばないか?





首をかしげつつも、リビングのドアが開く音に振り返った。