夜、8時。

「じゃー…またな」
「うん、また新学期に!」

俺たちはあっさり別れ、俺はそのすぐ後、サトに電話をした。


数回のコール音の後、いつものよりかなり低くかすれた声が聞こえた。
明らかに、寝起き。


「サト?」

サトからの返事はすぐになかった。
たぶん寝ぼけてる。

『……おー』

ワンテンポ遅れたころに、間延びした返事が返ってきた。

「今暇?」
『あー、寝てた』



やっぱり。

俺は小さくため息をつきながら笑った。
それから、親友に提案をする。


「じゃあ起きて、俺んち来て」

『はー?唐突すぎんだけど』

「俺、言ったんだ」

『…渡里に?』

「そう。だから、な、来て。電話じゃ伝えにくい」


サトは少し迷っているような間をおいたあと、わかったよ、と言った。


『あー……しゃーねーなー…15分で行く』
「駅前で待ってるから」