目が覚めたら、朝だった。

「え!?」

あわてて起き上がると、体に大きなタオルケットがかけられていた。
俺はそのまま寝てしまった記憶しかないので、おそらく葵がかけてくれたんだろう。

エアコンはちゃんと切ってあって、窓がしっかり開けられていた。

教えたわけでもないのに、ちゃんとわかってるんだなあ。



俺よりもよっぽど学習能力が高いんじゃないか、なんてことを考えて、自分で苦笑するしかなかった。



固い床の上に寝ていたせいか、背中と首が少し痛んだ。それでも、と立ち上がって顔を洗いに洗面所に向かった。
途中、あくびをしながらケータイを操作してメールをチェック。
一番上に美佐からのメールが入っていて、それを開くと、「じゃあ明日10時に駅前の噴水のベンチにね!」と、記されていた。

あわてて画面端の時計を見た。

「…やっべえ!!」


すでに、10時12分。





いつもなら少しは見ていくテレビを見ている余裕もなくて、葵に行ってくるねと言う時間もなくて。

急いで着替えてケータイをポケットにねじ込み、家を飛び出した。
葵には後でメールを打っておけばいいやと思った。








いつものようにテレビを見ていたら、異変に気づけたかもしれない。
街は、大騒ぎだった。