峰島家が見えなくなると、俺はサトに一番確かめたかったことを訊いた。




「お前さ…あれは、全部嘘?」

「嘘って…なあ、人聞きの悪い。演技って言えよ」

「ハイハイすんませんー。あれは全部縁起?」

「当たり前だろ」

「じゃあ、じゃあさあ」



俺が立ち止まると、サトも立ち止まって振り返った。



「じゃあさ、」

「あーはいはい。葵ちゃん好きってのも嘘」



自分で嘘と言ってから、「じゃなかった、演技だよ演技」と笑った。


「……つーかさー、好きだけど、恋愛じゃない」
「………真面目に?俺に遠慮とかすんじゃねえぞ気持ち悪ィから」
「お前マジ失礼だよな」


サトは歩き出す。

待てよ、俺の話はまだ終わっちゃいねえってのに。



「サト!」



「んだよー?叫ぶなって。響くんだから」




「俺さー!」