夜の街は、2年前から俺の居場所だ。



正確には、中学生活が終わろうとしていた、春から。

信頼していたじいちゃんが死んでから、俺はその遺産だけで高層マンションの最上階で何不自由ない一人暮らしをしている。





親はいない。
いや、いるのかもしれない。よくわからない。生きてるのか死んでるのかなんて、知ったこっちゃねー。


俺には親のいたときの記憶がなく、物心ついたときからそばにいたのはじいちゃんとばあちゃんだった。要するに、捨てられたのだ、実の親には。だから顔も思い出せない。


でも、じいちゃんとばあちゃんがいたから、なにも悲しいことなんてなかった。



よく笑って、よく騒ぎ、勉強はあまりできなかったけれど、運動はできる。
ありがちなどこにでもいる「平凡男子」として育った。