俺、なんにもわかってなかったんだ。

言い訳にするつもりじゃないけど、本当にバカで、必死だった。

弱いから。
心が弱いから。
もうこれ以上、傷つきたくなかった。

誰かのせいにするのは楽だから。

誰もわかっちゃくれないんだって、決めつけて、離れていくんだと嘆いてた。

離れたのは自分だったのに。



サトは、すげえ奴だよな。

こんな奴のこと、考えてくれてありがとう。

さっちゃん、やっぱ最高だよ。

俺の狂った方位磁石を直してくれるのは、いつだってあんただ。




街が夜の闇と蛍光灯とネオンと、様々な光で踊ってる。



眠らない、黙らない、ここが俺の居場所。

だけど、サトの隣も、葵の側も、さっちゃんの前も、俺の居場所。

居場所なんて、要はどこでもいいんだ。
そこに誰かがいてくれればいい。




俺は人込みを縫うようにしてただ駅へと駆けた。