さっちゃんの話を聞いていると、俺の頭の中の歪んだものが溶かされていくような、そんな気持ちになった。
残ったのは、サトへの大きな謝罪ともう一つ小さなもの。



ああ、そうか……

こんなに単純なことだったなんて。




「俺、…サトに会いに行く」
「そう」

手の甲で強く目をぬぐうと、俺は立ち上がってさっちゃんに葵のこと頼むね、と言った。

「うん、気をつけて行ってきなさいよ。……もう、間違わないでね」


そう言って笑うさっちゃんは、ひどく綺麗だった。







「いってきます」