好きだとか、

信じてるとか、

そんなの口に出してしまった瞬間に重みを失うの。



だから、峰島くんは黙ってた。

黙って、無理に笑うアンタと一緒に無理に笑った。








ちとせの負担になりたくないんで。



そう言って、自分を悪役にしてまで、アンタがアンタを1番に考えるようにしようとしてたの。





「ちとせ」

名前を呼んでも首を振るだけで、こっちを見ないガキ。

意地っ張り、泣き虫、それでいて誰よりもまっすぐな心を持ってる、彼。



小さな子供にするのと同じように、キレイにセットされた彼の頭をなでた。

いつもならやめろよといって振り払うであろうその手を、彼が拒まなかったのはいつ以来だろうか。