俺の気持ち知らないくせに、人のこと言えんのかコラ。



急に、この空間もさっちゃんも、やかましい映像も何もかもがうざったくてたまらなくなった。

俺はベランダから、つまり地上35階のこの場所から飛び降りてしまいたいと衝動的に思った。


そんなことは、もちろんしないけど。


「峰島くんが、」
「あ?」
「どう思ってたのかも知らないくせに」
「…はい?だから、ワケわかんねーよ。順を追って説明し」




突然、さっちゃんが顔を上げた。
俺は口を閉じた。

「アンタのこと、一番心配してるのは彼だって、知りもしなかったくせに!」



酷く静かで冷たい声だった。