え?
叩く、って…理由もないのに?

むしろ俺が叩かれる側だろう、普通。


「……どうして、俺が叩くの?」

「叩かないの?」

「叩かないよ?」



彼女は泣き笑いの顔になった。

初めて見た表情らしい表情に、俺は安心して、そのまま意識を失った。

つまり、寝た。

最低最悪、単細胞なタイミング。





少女が言った「叩かないの?」って言葉。

出来ることなら起き上がって、その言葉の意味の深さを考えたかったけれど、気が付いたら朝だった。



単純に、疲れていたんだろう。