ハコイリムスメ。

あいつは俺の目を見て、久しぶりに俺の目を見て、

『好きなくせにさ』

って言ったんだ。
誰が誰を?
俺が…葵を?

「ちとせくんー、食べないの?」
「あー…食べる食べる」

促されてカップのふたを外す。
冷たい。



そりゃあ、好きじゃないと言ったら嘘になるさ。
好きだ、好きだよ別に。

…好き?

好き…?


わけわかんねえ。



目の前では端から少しずつアイスを崩して食べている葵。嬉しそうに、楽しそうに。
嫌うはずがないじゃん、好きで普通じゃん。サトは何がしたい?



ピーンポーン…

「!」
「あ、誰か来た?」

ふいにインターホンが鳴った。
とっさに頭をよぎったのは美佐。
それからサト。

前者だったら俺、どうしたらいいんだ。