リビングの電気やクーラーはつけっぱなしで、それだけで、葵が「帰るよ」と言ったであろうサトを送ろうと、ちょっと家を出ただけなのだとわかった。
これまた点けっぱなしになっていたテレビの中では俺の嫌いなタレント気取りの女医が、俺の好きな俳優とさも親しげに話していた。
ふざけんなー。
俺はイライラとチャンネルを変えた。
スーパーの袋から葵のイチゴシャーベットと、バニラアイスを出した。
「葵、スプーン持ってきて」
「うんー」
キッチンに消えたいつも通りの葵、少しだけ安心。
シャーベットの蓋を開けてみると、良かった、無事だ。
「はい、ちとせくん」
ちゃんと2本持ってきた葵の頭をなでた。
くすぐったそうに笑う。
「わーいイチゴ!」
そういって椅子に座る葵は、無邪気そのもので。

