ハコイリムスメ。

サトは俺の横を通り、エレベーターの前に立った。
下向きの矢印ののボタンを押して、それから押し黙る。


「…んだよ、何とか言えよ」


俺の声を無視して、すぐに35階まで上がってきたエレベータの開いたドアに、サトは無言で飲み込まれて行った。


俺が睨みつける中で、ドアの閉まる直前に振り返り、そして言った。













「好きなくせにさ」
















すきなくせに、確かにそう言って、サトはドアの向こうに消えて行った。