美容院を出て、軽くなった頭に若干の違和感を覚えながらも、大通りを歩いた。

染めたからか、ずいぶん時間がかかってしまった。
ケータイの時計は18:03となっている。
4時から6時、つまり2時間も。



夏という季節のせいであたりはまだ十分明るく、そのせいでせいぜいまだ5時だと踏んでいた俺は、ちょっとびっくりした。

「葵、待ってるよな…」

早く帰らないと。
ええーっと、アイスアイスアイス…



少し早足になった俺の肩を突然、誰かがつかんだ。
びくっとして振り返ると見慣れた顔と、久々の顔が並んでいた。

「んだよ、トオルかよ」

トオル、となゆちゃん。

「そんな言いかたないじゃないですかー!あんまりっすよ、ちとせさんー!」
「こ、こんばんはっ!」

なゆちゃんは文句を垂れ流すトオルの横で俺に向かって照れ笑いを浮かべた。