髪を切ったら、何か変わるかもしれない。

俺は少しそう思ってたんだ、たぶん。





何かに依存して生きてる、そんなの俺1人に限ったことじゃない。
わかってるさ。

こんなときくらい、誰かに頼ればいいかもしれない。
問題は、頼り方を、知らない、ってこと。



落ち込んで落ち込んで、とことん落ち込めたのなら、回復の光が見えたかもわからない、だけど結局、俺は何にもなれない。

なりきれないから、真剣に向き合えないから、落ち込みの底に着けない。

───底に着けないから、浮き上がれない。



落ち込みの果てに何があるのか、俺は見たことがない。
何かしら他のことを考えて生きているから、悲しみに没頭しきれない。







結論から言えば、俺はまだ信じきれないんだ。



うまくいえないけれど、サトが美佐に言ったのが事実だということはもう疑っていないけれど、そうじゃなくて。

動機が、理由が。
らしくねぇんだよ、サト。



葵が好きならそれでもいい。
だけど………
頭の奥の奥の奥では、違うと勘が騒ぐ。