行きたくはないけど、それでもイチの説教を延々と食らうよりはマシだ。

あわてて階段を下りる。
幸い第3視聴覚室は階段のすぐ横で、30秒足らずで到着。


「っ、は…遅れました…すんません」


教室に飛び込んでいくと、全員の視線が俺に向いたのを感じた。



あー、もー。



だから遅刻って嫌なんだよな。
サボりで寝てたのが悪いって、わかってるけどさ。


「ええと、谷神くんですよね?今後は気をつけてくださいね」
「…はい」

黒板を背にして教壇に立っていた3年生らしき女の先輩が俺をまっすぐに見て言った。

あ、美人。

「じゃ、今日は顔合わせとプリント配布程度なので…あいている席に適当に座ってください」

「ああ、はい」



ちら、と視界の中に教室の隅にサトが座っているのが映った。

さすが、優等生。

お前、基本的な委員会とかはサボらなかったもんな、中学の時から。

サトと、嘉一と…俺と。3人で授業抜けだしたり買い食いしたり、いろいろやったけど、…他人に迷惑になるようなことはしなかったもんな、俺ら。


俺は、他校に通うもう1人の親友、三藤嘉一のことを思い出して、それから中学時代のバカ騒ぎを思い出した。


あはは、初めてだ、委員会遅刻したの。
いつもサトに引っ張っられて来てたから。




「谷神くん?」
「あ、すみません」

先輩に促されて目についた手前の席に座った。