「…ん?」

目が覚めたとき、どこにいるのかが思い出せなかった。


なんで外で寝てるんだ、俺。

え、あ、屋上?まだ学校?

集会の時間?

終わったのか?

今、何時なんだ?


目をこすりながら、制服のポケットを探り、ケータイを引っ張り出した。
適当なボタンを押して、外側の液晶画面に出た小さな時計を見る。

「…15時48分……3時だと!?」

ガバっと起きあがったと同時に

びゅうっ!

…と凄い音がした。

いきなり突風が吹き首に緩く巻いていた水色のネクタイが煽られ、顔面にビタン!とクリーンヒット。

地味に痛い。

なんなんだちくしょう。


イラついたのでネクタイをほどくと、ポケットにねじり込んだ。

「…帰」




独り言が続かなかった。

ピンポンパンポン!

すぐ後ろの巨大スピーカーから、バカみたいにでかい音。俺の声は簡単にかき消されてしまった。

とっさに両手で耳を覆う。





『2年、谷神ちとせ君、谷神ちとせ君…至急3階の第3視聴覚室に来てください…繰り返します、2年谷神ちとせ君、谷神ちとせ君…至急3階の第3視聴覚室に来てください…』


呼び出されたのは、俺だった。







…そうだ、委員会………