1人になると、考えなくてもいいことまで考えだしてしまう。
ついつい長風呂しちゃうのは、つまりそういうこと。

今の世の中、特に都会ではどこへ行っても人人人。
一人になる機会なんて、ほとんど無いんじゃないかな。

だから、1人きりだと、無駄な考えが次から次へと湧いてきて、それが止まらなくなるんだと俺は思ってる。



「…集会、さぼろーかな…」


慣れてくると湿気を含んだ風も、この温度も、そんなに悪いものじゃないって思えてくる。
例えばセミの声だって、道路をひっきりなしに行き来する車の音だって、この夏という季節には欠かせないものなんじゃないかって、そう思った。

夏がこんなに呼んでいるのに、無駄に人口密度の高くなった体育館なんかに入りたくない。
入りたくない、って感じても我慢しなきゃいけないときっていつかきっと来る。

でも、それは今じゃないって勝手に解釈しておこう。



嫌なんだ、これ以上無駄にサトの近くへ行くのは。