ハコイリムスメ。

山村が出ていくと、教室が一層騒がしくなった。時計を見た。12時30分。


そっか…今から昼休みなんだ。




財布片手に購買目当てで教室を飛び出していくやつ。

ケータイを取り出して彼氏と連絡を取り出す女子。

圭太はさっきの続きだー!って声を張り上げて、回りの男子はげらげら笑って。

一瞬ためらってから振り向いたら、サトはもう居なかった。





俺の頭の中を、いつもの光景が流れる。

(「ちとせっいつまで寝てんだよ!ったく、しょうがねぇなぁ」)

(「…つか俺、早弁しちった…腹減った…」)

(「…バカだろ」)

(「ちとせー美佐ね今日お弁当作ってきたんだよっ」)

(「マジ!!」)



夢のように、

霞のように。