ハコイリムスメ。

一瞬みんながこっちを横目で見て、それから教卓でUNOをやっていた圭太が笑った。

圭太ってのは麻生圭太で、爽やかサッカー部キャプテン候補。


男子からも女子からも人気者で、クラスに1人は必ずいるタイプ。
俺も圭太のことは好き。
あ、もちろんダチとしてだけど。

「あよっ、ちとせ!?今来た?」

『あよっ』、て…
どんなリアクションだよそれ。

「よっす」

『あよっ』に右手をあげて応じる。
ダルかったから、すぐに下に下りたけど。

「マジかよー」


圭太はけらけら笑う。嫌みを感じる訳じゃないけど、なんか…腹立つな。


最近、些細なことにさえ苛立ちを感じる。
排気ガス、セミ、ギャルに、つり銭切れの自販機。キレても仕方ない、わかっちゃいるけど腹がたつ。


夏であることさえも煩わしい。


………カルシウム不足かも。




「マジかよーあー羨まし!!」