ハコイリムスメ。

ようやくたどり着いた階段で何人かとすれ違う。
ジャージ姿、隣のクラスの高山ともう一人知らないやつが、話しかけてきた。


「谷神ー、今来たん?」
「おー」
「マジかよ!!良いなぁ」
「体育?」
「ん、まぁ勉強よかマシだし」
「そか…俺今から数学らしいし。最悪」
「あははは!!遅刻のバチだろ!!」
「へいへい」


ニカッと夏らしいはじけた笑顔を空気中に浮かせて、二人は勢いよく階段をほとんど飛び降りるかのように下りていった。

巻き起こされた生ぬるい風が、長くなりすぎた俺の髪を揺らす。







「帰りてー…」

意思に関係なく、ポツリ。
暑い、眠い、ダルい。



だらだら階段を上って、教室のドアを開け、中に入る。