「って、え…お前、マジでケンカできるんだ?へえ、お前の方こそ、俺のこと何とも思ってなかったんじゃねえのかよ?簡単に殴れんだもんなーあ、俺のこと。マジ痛ぇんだけど」


地面につばを吐く。
暗い中でも、血に染まってるのがわかった。



「…もう、いい…わかった…」


サトはそっけない。
こんなもんか、俺たちの間なんて。


「あっそ。勝手に納得でも何でもすればいいよ…言ったこと、謝れって言うんならいくらでも謝るけど」



嫌いだ、お前なんか。

大嫌いだ、親友を殴る、俺なんか。



「金輪際、お前とは縁切る。「俺と葵」の家の鍵。返せ」


「俺と葵」の、の部分に、サトが反応する。


「嫌味?今の」

「何のことだよ?俺がそんな高等な事出来ると思うのか?」

「それもそうだよな」