ハコイリムスメ。


「っうー…ばかー」
「うん」

───ごめん。

口には出さなかったけれど、伝わるように…
まわした腕に、力を込めた。





美佐はひとしきり泣いた後、けろっと元に戻った。
切り替えの早さに、俺の方がびっくりした。


「ね、これ冷めちゃったね!!ホットプレートであっため直せるものなのかな!?」
「さあ…うん、やってみよ」


電子レンジのが早い気もすんだけど…、まあいいか。

俺はホットプレートの電源スイッチを、「低温」に切り替えた。


「ねーちとせー」
「あ?」


美佐が、顔を洗いたいと言い出したから、洗面所を指して、


「電気、入ったら自動で付くから」


そう教えると、ハイテクー!!と嬉しそうに笑う。

笑ったり泣いたり怒ったり、忙しい奴だなあ。


ちなみに、食べる前の手洗いはキッチンのシンクで。
特に理由があったワケじゃないけど、美佐がその広さに驚いて、それでそのまま流れ?
そこで洗わせた。



俺は一人、あまり動かない頭で、何か忘れてる気がすると考えていた。