ハコイリムスメ。

返事を聞いたあと、物置代わりに使っている、一番狭い部屋に行き、それからキッチン用品とラベルの張ってあるクリアケースを開けた。

ホットプレートは一番上に入っていて、すぐ見つかった。


両手で抱え(だって重い)、リビングに戻った。
ちゃんと広告の敷かれたテーブル、いつも葵の座ってるはずの席には美佐が座っていた。

「お帰りー」
「………そこ、」
「うん?」
「俺の席」

俺の口は、言うことをきかないらしい。
…や、口には耳がついてないから、仕方無いんかな?

意に反して、バカなことを口走った。

「あ、そぉ?ゴメンゴメン」
「ん…、や、もーいーや…ゴメン」

立ち上がろうとした彼女を制し、本当の自分の席につく。

ホットプレートを箱から出して、コードをコンセントに差し込んだ。

「電気入れるからな?触んなよ?火傷するから」
「ちょっとー、美佐はそこまでバカじゃないー!」


頬を膨らませてグレたように言う。
その顔をつついてやった。