瞼にキスを落とす。
その後、キスは唇に移り、息継ぎもほとんどしないで1分間ほどし続けた。


そして驚くべきことに、その間ずっと、俺は他のことで頭が一杯だった。


葵、もう駅に着いたかな、とか。
葵、今日ちゃんと寝れんのかな、とか。

そもそも誰と寝るんだろうか、とか。





最悪かもしれない、俺は。

彼女と居る、キスしてる、なのに。



別の子のことで頭が一杯だなんて。



その子と暮らしていることを、彼女に伝えていないなんて。




そして何よりわからなかった。

ガキみたいに自分の気持ちがわからなかった。


どうしてこんなに気をとられるのか、と。