俺はいかにも驚いているって顔をしながら、美佐に問いかけた。

「マジでビビった…なんで分かったん?ここ」
「うふ、まぁねーん」


荷物を持っていない方の腕に絡み付いてくる。
やっぱり、上がってくつもりだ。サトに感謝だ。マジありがとう!!


「んだよ言えよー」

美佐は俺に笑いかけながら言った。

「ちゅーしてくれたらっ」
「………アホかよ」

俺ぁ、全身の力抜けましたよ今。
なんなんだコイツは…

「アホだよ?何ー今さら」
「肯定すんの?やだな俺アホな彼女は…」
「気になるでしょ?」
「あたりまえじゃん。サトにしか話してないのに、ここ」
「早くー」


好き勝手に言って、目を閉じる。

え?何?
こんなとこで人様にキスシーン晒せと?

「んー………」

…………まぁ、いいか…

「約束だかんな?話せよ?」
「わかってるもーん」



身長差、14センチ。
上半身を屈めるようにして、美佐の後ろの壁に左手をついた。
右手は彼女の腰へ。



そしたら急に、葵にしたキスを思い出してしまった。

「──────っ!?!?」

何一人で赤面してんだ俺ぇ!!!
キモいキモいキモい!!

首を振りまくった。
そしたら、ゴキュッと嫌な音がした。

「…ちとせ?」
「はっ、はイ!?」

上目遣いに見られ、俺は我に帰った。

予想以上に近い位置にあった美佐の目。

なんなんだ俺は。

目の前に彼女居んのに、なんで他のことなんか…


「どしたの?」
「何でもねぇよ…目、閉じなきゃキス出来ないでショ」
「うん」