「スーパー寄ってこ。お好み焼き粉、切れてるから」
「うん」


紙袋、重くないかな?




スーパーに向かう途中、ふと名案が浮かんだ。

あ、ついでに小麦粉買って帰ろう。
ホットケーキミックスでもいいけど、だってあれだろ?ベーキングパウダーは入ってたら、膨らんじまうもんな。
で、明日はクレープを焼いてみよう。
学校帰りだしサトも連行してきて…、そうだな、なんかDVD借りて、みんなで見よう、うん。

はたから見たら、二ヤついてて変だったかもしれない。




スーパーの中は、冷房が効いてて凄く涼しかった。

「寒い?平気?」
「大丈夫」

籠を片手に、明るいフロアを歩く。

「えび玉ー、イカ玉ー、ブタ玉ー…あ、もち入れるとうまいって何かで言ってたかも」

食事に気を遣うようになってから、料理番組やたまに入ってくる無料マガジンのレシピ欄をまめにチェックするようになった。

「ちとせくん、これ欲しいー」
「ん?どれ」

黄色の、たぶんはちみつレモン味のキャンディだった。

「黄色好きだもんなー。いいよ、入れて」
「やったー!」

ぽす、と軽い音がして小麦粉の上に乗っかった、キャンディ。
急にはちみつレモンが飲みたくなったので、はちみつと瓶詰のレモン果汁も買った。