家の近くより、三個手前の駅で降りた。

ええと、初めて葵をさっちゃんのところに連れていった日に、トオルとなゆちゃんのカップルが降りた駅。

見たことのない景色に、葵は戸惑いがちだった。
俺は、葵と繋いだ手に、少しだけ強い力を込めた。


やって来たのはショッピングモール。
かなり広くて、『1日回っても飽きない!!』が、オープン当初の広告に載っていたうたい文句だ。

100近い専門店の中からまず一番先に向かったのは、『white』って名前の服屋。

ちょっと前にここを通りかかったとき、美佐が、「カワイイ!!」と歓声をあげ、そのままショーウィンドウにかじりつくようにして離れなくて、困った記憶がある。


ホワイト、なんて言っても、別に白い服しかない訳じゃない。
現に、あの時美佐が気に入った服は、確かピンクだった。



………うーん…
地味に入りにくいんだけど…
まあ、仕方ないよなぁ…

自動ドアの前に立った。