ショックを受ける俺の顔がおかしくてたまらないって感じでさっちゃんが笑った。
受付のおばちゃんも笑う。
葵と目の高さを揃えるように軽く腰をおろして、さっちゃんがほほ笑みながら言う。

「葵ちゃん、ちとせがお絵かきの道具を買ってくれるって」

にーっこり。
さっき怖いと感じた表情のはずなのに、温かさを感じた。

「本当に?」

さっちゃんの言葉に、ぱあっと顔色が変わる。
ちょっとおもしろくない俺は、からかうような口調で
言った。

「うん。でもまあ、しょうがないよなー、葵は行きたくないんだもんなー」

言い終わるのとほとんど同時に、少女は俺の腕にしがみついてきた。

「やだやだ行く!!」
「あはは、うん、行こうか」

やれやれ、って見られた。
さっちゃんにも、おばちゃんにも。

「気をつけてねー。あ、また来て」
「うん、わかった。じゃあな。あ、ありがとうございました今日は」
「ううん、楽しかったわよ」