「………オイ」
俺がちょっと低い声で離すように促すも、少女は目を真っ直ぐに見て離さない。
何かに怯えていて、誰かにすがりたいのに、できない、そんな雰囲気のある目。
「お持ち帰りかー?高2の分際で」
「うるせぇなぁ、んなことしねーよ」
よくよく見てみれば、かなりかわいいことがわかった。
でもやっぱ、ガキだ、たぶん。
まだ中学生だろ。
連れて帰ってどーこーする気は起きなかった。
「タバコ返せよ」
店長に右手のひらを差し出したけれど、首を振られた。
「不健康だから没収」
蹴ってやりたかったけど、うぜえなあって言いたかったけど、心配からきていると分かっていたしいくらか冷静にもなっていたので、何も言わなかった。
……まあ、さっきは蹴っ飛ばしちゃったけど。
ごめんなさい店長。
俺が黙っていると、代わりにこれを授けよう、とか大袈裟に、鉢植えを差し出した。
何のつもりだよ、と舌打ちをしながら問う。
「はぁ?何これ」
人があえて突っ込まなかったものを持ち出してくるなよ、とイライラする。
ああ、これってカルシウム不足なのか?
「見てわかんないのかー?ひまわりだよひ・ま・わ・り」
店長は緑色の葉をツンツンと人差指でつつく。
「区切ってしゃべるな」

