「やだあ、ちとせくんったらあー!サイテー」
「オカマかバカ!!」
げらげら笑う店長の脇腹に蹴りを一発。
店長は「はいはい、すみませんでしたー」とぶつぶつ言った。
「あのさ、どっから来たのか知らねーけど、もう帰れよ。こんな街にいたら食われんぞ、お前」
ちょっと大袈裟に言ってみる。
そうしたら、「ああ、もう!」と横でこれまた大袈裟な反応をするヤツ約一名。
「女の子に何教えてんだ、ちとせのエロオヤジ」
オヤジ?
俺がオヤジ?
つまり、中年って言いたいんですか?
…それ、店の平和を守った現役高校生に向かって言う言葉ですか?
「バカなリアルオヤジは引っ込め」
店長は憤慨した。
「リアルだぁ!?俺はまだ28だ!」
28歳?ふん、四捨五入で30じゃねーか。
かわいそうに…あはは。
「あーハイハイ。ソウデスカー…10以上年上は俺にとってオヤジなの」
「なんで微妙に棒読み入ったんだよ今!?」
ねちねちと言い続ける店長を傍観者の気分で眺めていた。
傍観者どころか、被害者なんですけどね。
だって俺に向かって言ってんだから。
そんなことを思っていたら、また少女の右手が俺に伸びてきて、今度は腕をつかんだ。

