だけど、美佐に感づかれたら面倒だし…

メシ食って、ソッコー帰るか…?

いやいやいや…

ダダこねるに決まってるって!!



「…ちょっと、電話良い?」
「誰に!?女!?」
「ちっげーよ!家に今、……イトコの」
「女!?」
「オトコ!!つーか美佐疑いすぎ…」

なんて、な。
今、俺は確かに嘘ついてるから疑い過ぎって言うよりかは勘良すぎ。



美佐は一瞬きょとんとした顔で俺を見た後、

「あぁ、イトコ来てるんだ…じゃあ、仕方ないよね…うん、今日は帰って良いよ、美佐我慢するから」

と、笑った。



お、予想外の展開。

「マジ?」
「マジマジ。いつ帰るの、イトコ」
「…わかんない。家出してきてて」


ごめん美佐。別に、嘘、つきたくはないんだ。

悲しませたいわけでも、ない。


でもまぁ、嘘も方便ってね。

傷つけない嘘は、嘘じゃないはずだから。


「帰ったら教えてね?」

寂しげに笑う。
こういうとこは、かわいいんだけどな…。


お詫びの印にキスをして、その日は別れた。



直後、花田レイコに遭遇したのは、つまり、今日の俺がトコトンツイてないしるしだ。