「あ、うん?」
「良いか?まず、夜中3時。電話。で、お前は俺に言ったわけ。『明日美佐とえーがなの。だからさー、葵頼む』で、返事を待たずに電話が切れて、10回もかけ直したけど、てめぇは出な」
「はぁ!?冗談じゃねぇ、俺はそこまで非常識じゃねえっつの!!」

ビクッと葵が俺を見た。

「あ、ゴメン葵」

怒鳴り声は、禁物。
葵は俺の右腕に抱きつくようにして、じっとしていた。

「どっちにしろ、葵ちゃん一人にして行けないだろ」
「そりゃそうだけど…」

ふり仰いだ時計の針は、もう11時を指していた。
葵の来た夜が明けたときみたいだ。
またも寝すぎた。

「やべ、俺行かなきゃ」
「ハイハイ」
「留守番頼めるか?」
「昨日の…つーか今朝方の電話でゆえよ」
「さんきゅ」








「朝飯は昨日の夜作っといたやつ、冷蔵庫に入ってっから」
「準備良いな」

感心するサトの横で、不安げな少女。

「ちとせくん…」
「明日、遊びに行こーな」

かがんで頭を撫でた。
そしたら葵はふわっと笑った。