「お前昨日の夜、ケータイかけてきただろ?夜ってか深夜」
「深夜ぁ?」

………?
何のことだろう。

しきりに首を捻る俺を見て、サトはやれやれとため息。

「はぁ…まぁそうだと思ったけど」
「ゴメン、全く記憶にないわ」

パンッと手を合わせて謝る。
そんな俺のもとに、ジョウロを持った葵がたかたか寄ってきた。

「ちとせくんちとせくん、あのね、ひまわりにね、お水あげたんだよ」

満面の笑み。
純粋じゃなきゃ、きっとこんな顔できない。
葵にしか、できない。

見れるのは俺だけ。

「偉いじゃん」
「えへへ~」

ニコニコ。
ああ、癒される…
昨日は疲れたから…



「仲むつまじいのは良いけど、」



サトの声で現実に戻る。
あー…
俺だけじゃなかった…コイツもいた。

ちょっとイライラした。

引き合わせたのは俺なのに。