また夢を見た。この前と同じ夢。まっ暗闇の中にぽつんと私一人が立っている。私の体はどんどん闇に溶けて、


――――そして――――


「........っ!?」

勢い良く目を開けた。口には呼吸器がつけられていた。体がだるく、起き上がれる状態ではなかったので、そのまま寝る体勢であたりを見渡した。

(........ここって、病院?あ、そっか、私倒れたんだ........)

顔に違和感があったので頬に手を置く。

「........泣いてる。」

「........胡蝶?」

夢現に、頬を手でなでていると、声が聞こえた。病室のドアの前には友里子がたってて、こちらを呆然と見つめている。

「あれ?ゆり....っ!?」

名前をいうより早く、友里子は力いっぱい私を抱きしめてた。

「もう!!心配したんだからァ!きゅ、救急車で運ばれたって聞いてっ!急いで駆けつけたけど胡蝶起きなくてっ........よかったぁ」

気づけば友里子も相当泣いていたらしい。目が腫れていた。

(…しんぱい、してくれてたんだ)



「........心配かけてごめんね?」

心配されることを心から嬉しいと思った。

後から聞くと、私はサッカー部の部室の前で倒れたらしく、そこにいた荒井くんと菅谷先輩がすぐに救急車を呼んでくれたと友里子は話してくれた。

「胡蝶、3日間ずっと寝てたんだよ?いま仕事でいないみたいだけど、胡蝶のお父さんとお母さんもものすごく心配してて…連絡したから後少しでくるとは思うけど…。」

「……3日間も寝てたの?」

「うん。全然起きなかった。」

「今日何曜日?」

「えっと……、月曜日倒れたから、木曜日だ」

「そっか……。」


「そういえば、荒井くんと菅谷先輩は?」

「んー、学校戻って部活。だっていまちょうど放課後でしょ?」

友里子に言われてはっとした。ずっと寝ていたからわかんなかったけど今日は平日だ。でもそれは友里子も同じで、部活のはずだ。

「でも友里子部活は?」

友里子は、ちょっとだけ顔を赤らめて囁くように言った。

「……だって、胡蝶が心配だから。」

はっきり聞こえた。

ああ―――

友里子


だいすき


こんなに心配してくれる


そんな友達初めて。


だいすき

だいすき

だいすき

「大好きだよ、友里子」

私は友里子に精一杯の笑顔を向けた。