私と荒井くんは放課後の文化祭の準備を終え、サッカー部の部室へと向かっていった。友里子はバドミントン部だから体育館の方側だ。

「じゃ、胡蝶バイバーい!荒井くんもバイバーい!」

わたし達は走っていく友里子を見送って自分たちも部室へと足を向けた。すると不意に荒井くんが

「白石、体大丈夫なのか?」

心臓が跳ね上がった。まさか荒井くんからそんな言葉が出るとは思ってもいなかったから。

「あ、えっと、大丈夫だよ?なんで?」

同様を隠すように聞き返すと荒井くんは心配した表情で私を見ている。

「最近なんだか調子悪そう。すぐに息切れてる気がするし、加納から聞いたんだけど、体育もずっと見学してるだけだって。」

私はぎくりと肩を震わせた。

心臓病持ちの私は、当然激しい運動を禁止されている。マネージャーの仕事も、校長先生に無理矢理言って承諾してもらったことだった。

「あの、えっと、私貧血も持ってて........。」

「そうなのか?ならいいけど。」

荒井くんは意外にあっさりと受け入れた。


ごめん。ごめんね........荒井くん。