クコはあたしの軍服を持ってくると、ソファーに置いてカーテンを開けてくれた。


そして、ベッドへ向かってくると天蓋越しに挨拶を交わす。



「……あら? こちらにいらした殿方はどこへ……」



 クコは、不思議そうに今まであたしたちが寝ていたベッドをまじまじと見つめる。


 あたしは、ブッと吹いてしまった。



「クコ見たの? というか、いつの間に来たの⁉︎」



昨日寝る前にはシュガーは猫姿だったはずだし……。


朝も今来たばかりだ。


つまり。



「あたしが寝た後にクコ部屋に来た?」

「はい。 呼びかけたのですが、お返事がなかったもので、少し入らせていただきました。 申し訳ございません」

「いや、それはいいの」



つまり、あたしたちが寝た直後、シュガーは人の姿になったわけだ。


昨日は疲れてたみたいだし、気が緩んだからかな?


今後はいろいろと気をつけないと……。



「クコが見た男の子っていうのなら、ここに……」

「にゃっ」



 あたしはシュガーを持ち上げて、クコの顔の前に持って行った。



「あたしの相棒で使い魔のシュガー。 たぶんクコが見た男の子って、シュガーの人間の姿だと思うよ……」

「そ、そうだったんですか……」



 クコはシュガーの頭を優しく撫でた。


 シュガーは気持ちいいのか、目を細めてグルグルと喉を鳴らす。



「てっきりまお様の恋人かと思いました。 まお様、やるなぁ……と」

「違うわ!!」



 クコがあまりに真剣に言うので、あたしは鋭くツッコんだ。


 シュガーがあたしの恋人?


 ないないない! 絶対ないから!


 あたしたちは相棒、主と使い魔っていう仲だし。



「それではまお様、着替えてください。 今日も予定が詰まってますよ」

「はーい」



 あたしはシュガーを離すと、服に手を掛けた。