ぐるぐるといろいろな思いが頭を駆け回る。
あたしが魔界に来たのは、魔力を持っているから?
どうしよう。
こんな小説みたいな展開、本当に起こっていいの?
でも、もしそんな展開なら。
これはきっとそうだ。
このカカオ王子と運命的な出会いを果たし、恋をするためにこうやって出会ったんだ!(ポジティブに解釈しました)
納得して、満足したあたしはニヤリと笑った。
「わかりました。 あたしは魔力を持っているからここに来たんですね」
「……ああ」
なんだか王子は、若干引き気味だったけど、気にしないことにした。
「ということで、とりあえずこの世界についての説明は終わりだ。 この後、行くところがある。 ……格好はそのままでいいか?」
王子はあたしを上から下まで見回す。
あたしは、高校の制服のままだ。
白のポロシャツがあちこち汚れてしまっている。
緑のチェックのプリーツスカートも、そんなに寄れていない。
埃は叩(はた)けば落ちそうだ。
「大丈夫です!」
「そうか、なら行こう」
王子は本を指先でトントンと叩いた。
すると、本はフワリと宙に浮き、開くとページをパタパタと翼のようして使い泳いでいく。
そして、本棚にキレイに納まった。
わぁ。
心の中で拍手をする。
現実離れしているけれど、あたしの胸はなぜか高鳴っていた。
ここは、本当に魔力のある、異世界なのだ。
あたしは、本当に異世界に来たんだ、と。