あたし、『魔女』として魔界に召喚されちゃったんですが。





 かつてオスガリアには天使がいたということ。


 天使は、オスガリアの平和を守っていたということ。


 そして、それをよく思わなかったものたちによって天使はある日追放されてしまったこと。

 だから、今のように環境が荒れてしまったということ……。



「だから、オスガリアは国をキレイにするため。 もしくは、オスガリアを捨て、別の場所で生きていくために、ウェズリアを侵略し始めた」

「…………」



 姫は何も言わず、ただ扇で自分の顔を扇ぐだけ。


 カカオは、それをわかっていたのか、話を続ける。



「たとえ、どんな理由だとしても、俺はウェズリアをオスガリアには渡しはしない。 すべてをかけて、守る。 俺は、お前とは結婚しない。 俺の力で、仲間と、まおと守っていくんだ」


 
 そう言いきったカカオの顔は、とてもカッコよくて、生き生きとしていて迷いがない。


 ピクリと、姫の形のよい眉が動いた。



「では、オスガリアと敵対すると?」

「ああ」

「……この縁談を断れば、貴方の国の民たちが傷つくのですよ?」

「ああ。 そんなこと、重々承知の上だ。 それでも、俺はこの国には従わない。 俺の国は全て守る! それにこの縁談を断るということは前にお前に言ってあったしな」

「っ……!」



 カカオの言葉に、姫の持っていた扇がカタンと大理石の床に落ちた。



「許しませんわ……」



 プルプルと、姫の肩が揺れはじめる。



「そんなこと、わたくしが許しませんわ! カカオ様は、わたくしと結婚する運命にあるのですから!」

「俺は、お前とは結婚しない」



 もう一度、カカオはきっぱりと言いきった。


 落ちた扇を姫が踏み砕き、無残にも残骸が辺りに散らばる。



「衛兵!」

「──はっ」



 もうすでに姫の瞳には、怒りと憎しみの炎しか灯っていない。


姫が叫ぶと共に、部屋中の扉という扉が開き、武器を持った衛兵が構えていた。