互いに臨戦態勢のまま、動かない。
その場を沈黙が支配していた。
先に動いたのは──獅子だ。
あたしの上に躍り出ると、その牙と爪を振りかぶる。
それを何ステップか後ろに踏んで避けると、その獅子は盛大に空ぶり、もんどりうって地面を転がる。
それに続いてもう一方の獅子が後ろから躍り掛かった。
魔方陣をそちらに翳すと魔方陣はより一層光を増し、獅子は目をくらませ、呻き声を上げて後退する。
次々と襲いかかる獅子の攻撃を軽やかに避けて見せると、獅子たちは余計に激昂した。
「グルゥオァア!」
獰猛な唸り声を上げると辺りに劇毒が飛び散り、芝が溶けていく。
あんなに美しかった庭は戦いの跡で芝は抉られ、土が露出し、毒さえも落ちていてぐちゃぐちゃだ。
ここで時間とるわけにもいかないよね。
「──雷竜!」
新たに魔力を込めると魔方陣に青白い光が走る。
それは静電気を帯びて、やがて大きな稲妻となる。
稲妻は形を成して、巨大な二つの龍になった。
獅子は二体同時に大地を蹴ると、襲いかかってくる。
するとこちらも雷竜が獅子と迎え撃った。
両者がぶつかり合った瞬間、バチバチと激しい光が発せられ、空気が振動する。

![あたし、『魔女』として魔界に召喚されちゃったんですが。[2]](https://www.no-ichigo.jp/img/member/684618/kvlyibwqof-thumb.jpg)

