あたし、『魔女』として魔界に召喚されちゃったんですが。




ボルトと挨拶を改めて交わし、あたしたちは門をくぐった。


まぁ、でも、何もすんなりと城に入れるわけないわよね……。


庭には、大きな獅子が何匹か放たれている。


ここの庭で飼っているものらしいけど、飼い主以外には全く懐かないらしい。


彼らの主食は──新鮮な生肉だ。


あたしたちの存在に気付き、牙を剥く。


その隙間から、涎が見事な毛皮を伝って落ちた。


芝の上に落ちた時、じゅわりと音がして煙を上げた。


毒だ。


何をも溶かす、即効性の有毒を含んだ唾液。


その特化した牙は、下顎よりも遥かに長く、この牙に喰らい付かれればひとたまりも無い。




「こんな生物がオスガリアにいたなんてな……」



どうやらカカオも知らなかったらしく、秘密裏に城で飼われていたのだろう。


そして、今、奴らは腹を空かせている。


目の前にいるあたしたちは格好の餌だ。


けれど、こんなところで足止めを食らっている暇はない。



「いいわよ、来なさい!」



魔方陣を手のひら呼び出し、声高らかに獅子たちを挑発する。



「おいっ」



予想どおり、獅子たちは攻撃の意を見せたあたしに標的を定めた。


カカオたちは、一瞬焦ったような表情を見せる。



「大丈夫だから。 貴方の『魔女』を信じて」



彼の顔を振り返り、できる限り優しく微笑んだ。


その表情を見て、カカオも頷く。



「そうだな」