もし、これが本のような物語で、カカオが物語の王子様なのなら。


 あたしは、その王子様に守られるお姫さまじゃなくて、共に肩を並べて戦えるような戦士になりたい。


あなたがあたしを頼ってくれるだけで、あたしはなんでもできる気がするから。



「まお」



 彼に名前を呼ばれて、顔を上げた。


 青色の澄んだ瞳に囚われる。


 そして、今度はそっと、優しい羽根のようなキスが与えられた。


 ねぇ、カカオ。


 あたしは今、すっごく幸せだよ。


 なんだってできちゃいそう。


 この世界に来たときは、不安でもあって、でも本のような物語だったらと、浮かれていた。


 でも、そんなふうに現実はうまくはいかない。


 苦しんで、もがいて、泣いて、笑って……。


 いろいろなことがあった。


 そして……カカオ、あなたに出会えた。


 カカオと出会えたから、あたしは強くなれた。


 前を向いて、進んでこれたんだ。


 だから、あなたの力になりたい。


 こんなあたしでもいいのなら、すべてをかけて守りたい。