あたし、『魔女』として魔界に召喚されちゃったんですが。




まおは悩み、そして真実を〈魔女の証〉に託すと、戦争が起きてもウェズリアが侵略されないように、防御結界を張ることを選んだのだ。


結界を解除するには、楔となる〈魔女の証〉を地面から引き抜かなければならない。


しかし、〈魔女の証〉の魔力は強大。


まお以外の魔術師には、触れることも近づく事すらできない。


 つまりその結界を解除できるのは、まお自身のみ。


 まおを目覚めさせないとダメだ。


 つまり、魔力をまおになんとかして補給しないと……。


 部屋に着くと、まおはベッドにいた。


 淡く赤に染まった頬。

 
 長い睫毛の並んだ、瞼。


 桜色の小さな唇。


 ベッドに広がったフワフワとカールした、黒髪。


 まるで、眠り姫のよう。


 もしこれが物語なら。


 眠り姫を目覚めさせるには──王子様のキス。


 俺は、まおの顔の横に手をついた。


 ギシリとベッドのスプリングが軋む。


 顔を、まおに近づけた。


 ふわりとやわらかい彼女の香りがする。


 もしこれが物語なら。


 物語通り、王子様のキスによって目覚めるのなら。