それからあたしは、国を覆う巨大な防御結界を張るために、準備を開始した。
それが、たやすいものなんかじゃないって、あたしが一番よくわかっている。
この前、この城を覆うだけの結界でも、かなりの魔力と体力を消耗してしまった。
もし、結界を張れたとしても、あたしがどうなるかは……わからない。
でも、何かしないと気が済まない。
落ち着いていられない。
大きな結界を張るためには、まず結界を張る場所を中心にして、円を描くようにしか張ることができないため、その円に当たる場所に、魔力を込めておく。
これは、一日かかって国中を周り、魔力を込めた。
あとは、円の中心で全魔力を解放し、防御結界の魔法をかけるだけだ。
円の中心はお城から南に向かったところ。
治癒魔法を得意とする妖精族の森より手前の大きな高原だ。
やや、背の高い草が生い茂り、どこかほんのりと甘い香りが漂っている。
風に揺れてさやさやと音を立てている草は、ウェズリア独特のもので、よく民間の治療に使われる薬草のようだった。
全魔力を失うとどうなるかは、わからない。
でも、怖くはない。
ほかでもない、カカオのためとこの国のため。
小さくして持ち歩いていたアカシを召喚し、地面に突き立てる。
『主よ、本当にやるのか?』
「ええ。 だから貴方の力を貸して欲しいの。 あたしが魔力を放ったら、貴方の魔力の根を張り巡らせて地面からも結界を張って欲しいの。 本当は〈千年霊木〉本体の場所へ行ってお願いしたかったけれど、時間がない」
『……承知した』
アカシの魔力が解き放たれ、蔓状に具現化すると地面を這い、みるみるうちに透明の蔦が地表を覆っていく。
「……はぁ」
あたしは大きく深呼吸をした。
じわじわと魔力を高めていく。
辺りの種々が、あたしの魔力に反応してザワザワとざわめきはじめた。
風が、あたしを中心にして巻き起こる。

![あたし、『魔女』として魔界に召喚されちゃったんですが。[2]](https://www.no-ichigo.jp/img/member/684618/kvlyibwqof-thumb.jpg)

