あたし、『魔女』として魔界に召喚されちゃったんですが。





 カカオは一瞬驚きの表情を見せ、険しい顔をした。



「……まだ、わからない。 けれど、俺には国を捨てることなど、できない」



 ああ、やっぱり。


 
「……そっか」



 カカオは、カカオだね。


 国のことを誰よりも思っていて、誰より傷つけたくない、守りたいと思っている。


あなたのそういった優しいところが大好きだけど……。


 今はそのことが、少しだけ……苦しい。



「まお? 何かあったのか? 何かおかしいぞ」



 カカオがうつむいたあたしの顔を覗き込むようにして言った。


 ああ、なんでいつもは鈍感なのに、こういうところだけはわかってしまうのだろう。


 なんで、優しくしてくれるんだろう……。


 それが、切なくて。


 気を抜けば、涙が熱くなった目頭から溢れてしまいそうだった。


 
「えっ? ううん、なんでもないの。 本当に!」



 心配されたくなくて、泣きそうなのを悟られたくなくて、あたしは必死に笑顔を顔に貼りつけた。