あたし、『魔女』として魔界に召喚されちゃったんですが。







「戻ったぞ」

「お帰りなさいませ、カカオ王子様」



 王子様が城に入るなり、光が目を刺した。


 目の前には、何十段にもなる赤い豪華な絨毯の敷かれた階段がある。


階段の脇には、先ほど見たものと同じものを纏った兵士が槍を構えていて、厳格な雰囲気が漂う。


 その奥には、螺旋階段が見上げないと見えないほど連なっている。


 壁には白い蝋燭が並び、赤々と燃える炎が点っていた。


 もちろん、赤い高級絨毯の下は白の大理石の床だ。


 その左右に、足首まで隠れる襟首の詰まった黒いワンピースに白のエプロンといったメイド服を着た女性が、カカオ王子に頭を下げている。


外観はお城だったけど、中を見る限り要塞扱いではなく、宮殿のように見える。


これこそまさに!


 THE お城!


 あたしのイメージ通り!


 お城の景観にうっとりしていると、いつの間にかカカオ王子の隣に他のメイドさんとはちょっと違う豪華なメイド服を着た大人っぽい女性がいた。


 これは、小説とかでも出てくる、『メイド長』さん!?


白銀の腰まで伸びたさらさらのストレートな髪がとても美しい女性だ。


切れ長の美しい瞳はわずかに紫がかったような青で、目が離せなくなる。


 
「カカオ王子様、そちらの方は……? ご友人でしょうか、それでしたら、応接間にお通し致します」

「リカエル」



 カカオ王子は、メイド長らしき女性の方を見ずに名を呼ぶ。



「はい、なんでございましょうか、カカオ王子様」



 リカエルさん?は素早く会釈をする。