あたし、『魔女』として魔界に召喚されちゃったんですが。





「……当たり前だ」



 シュガーはもう一度まおを愛おしそうに見つめると、まおの首筋にあるシュガーとの契約の証に優しく口づけた。


 そして、ベッドを飛び降りると、次の瞬間には赤髪の少年になっていた。



「まずは、どうしてまおが無理をしてまで防御結界を張ろうとしたのか、それを突き止めようぜ」

「……俺がオスガリアにいた時、姫が言っていた。 『事が思い通りになった』と」

「事が思い通りに……?」

「ああ。 姫はなぜかまおの存在のことを知っていたんだ。 そして、まるでまおと会ったかのような口ぶりだった」



そうだ。


姫はやけに機嫌がよかった。


俺に想い人がいるとか何とか言っていて、それがこの国の魔女──まおであると。


そして、まおに何かを『言った』と……。



「どうやってまおのことを知り得たんだ……?」

「それに、さっきの王子の話じゃ、姫とまおは話をしたって言ってたよな……?」

「ああ」

「じゃあ、二人はどこで出会った?」



シュガーに言われて気づく。


二人に接点などなかったはずだ。


姫は滅多にオスガリアから出ることはない。


まおも戦いに出たのはまだわずか二回だし、国外へ一人で行ったはずはない。


その二人が出会うとはとても考えられない。



「……おかしい」




じゃあ、二人はいつ、どうやって……?



「まおが国から出るとは考えづらい。 となるとやはり……」

「とりあえず、聞き込み調査だな!」



 そういって、シュガーはサッと部屋を出ていく。


 部屋には、俺とまおだけが取り残された。


 俺は、ベッドに近づき、彼女を覗き込む。


 彼女の頬は赤みを差していて、ゆっくりと規則正しい呼吸を繰り返している。


 ただ、眠っているようにしか見えない。


 それでも、彼女の長い睫毛の並んだ瞼はしっかりと閉じられていて、開かれそうにない。



「まお……」



 俺はまおの髪を撫でた。


 優しく、優しく。


 彼女が目覚めてほしいと願って。


 しばらく彼女を見つめると、俺は部屋を後にした。